馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

紀貫之 1/x


        神は言われた。
        『我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。
        そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、
        地を這うものすべてを支配させよう。』 ……
        ―― 『創世記』


        わたしたちは「殺してはならない」という言葉 …… を、
        灌木にも適用されるものとしては受けとらない。
        それは、灌木には感覚がないからである。
        また飛んだり、泳いだり、動きまわったり、這ったりする、
        理性を持たない動物にも適用される言葉としても受けとらない。
        それは、これらの動物は理性によって
        わたしたちの仲間とはなっていないからである。
        これらの動物には、
        わたしたちと共通の理性を持つことが許されていないのである
        (この理由で、創造主の完全に正しい秩序づけによって
        これらの動物の生と死はわたしたちの用に従わしめられているのである)。
        ―― 『神の国』 1巻20章


すべての存在者は、
理性をもつか否かによって序列化される。
理性をもつ者は、理性をもたない者の上位に位置し、
上位に位置する者は、下位に位置する者を任意に利用し、
改良し、処分する権限を持つ。

ありていに言うと、
鯨は、牛は、馬は、鹿は、馬鹿ということだ。
人は豊かな理性を持つ。
鯨はそこそこの、牛は貧しい理性を持ち、
植物は理性を持たない、人はそう思っている。

理性を持つ者が、それをもたない者の上位に位置する、
混ぜ返すと、その発想自体が、
貧しい理性に固有のものかもしれないが、さておき。
では、人は鯨や牛の世界を、
花に鳴く鶯、水に棲む蛙、生きとし生けるものを、

語り尽くすことができるのか?



        『聖書 新共同訳』
          1992、日本聖書協会
        『アウグスティヌス著作集 11』/赤木善光、泉治典、金子晴勇 訳、
          1980、教文館



  1. 2015年09月27日 09:52 |
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  3. | コメント:2

コメント

使徒ペテロは「理性のない動物は、
捕らえられ屠られるために生まれてきた」と
今なら動物愛護団体から訴えられそうなことを言った。
人間の理性が動物より上位というのは神の計らいなのか。

人は考える葦であり、思考することは宇宙に優ると言われる。
だが「もののあはれ」とは理解するものというより、感じるものだ。

人は、芸術を理性では理解したり解釈できなくても、
感情が揺さぶられ、感動し、大いに愉悦を感じることがある。

また、人は、ある行為をすべきではないと承知していても、
理性に背いて、それをしたほうが楽しいと感じる場合もある。

頭で生きるのと、心で生きるのと、どちらが幸せなのだろう。
人生の究極の目標は幸せである、ということであれば、
理性下位の生き物でも十分幸せである場合もあるのではないか。

たとえば、もう自分自身のことも認知できないような人たち。
理性がうまく働かないので、当人にとっては、
案外幸せであるということはないのだろうか。
(と、ちょっと失礼かもしれないことを考えてみました)
  1. 2015/09/27(日) 19:24:11 |
  2. URL |
  3. ☆バーソ☆ #IGPPA7yY
  4. [ 編集 ]

バーソさん、こんにちは。

>だが「もののあはれ」とは理解するものというより、感じるものだ。
バーソさん、先に書いちゃいけませんw。
あと5回くらい続くのにww、鋭いなぁ!

もののあはれ、それは、ブッダの「一切皆苦」ではないか?
ショーペンハウアー的には、
世界そのものが持っている意志ではないか?
世界まるごと、苦しみが充満していることへの同情ではないか?
僕たちは、すでに感じて、知っているのではないか?
もののあはれ、その成分に含まれる、永遠の根源的な思慕、
絶対者への依属の感情、そんなのは説明されなくても、
分かってるのではないか?
説明されるから、別に「一切皆苦」や「共苦」を探そうとするけど、
無目的に人を駆り立てる意志は、
ふわふわと目の前に立ち上がって、
僕たちは、それを感じまくっているのではないか?
なんてことを考えています。

幸せ、については、
もう、いくら考えても分からなくなってますw。
  1. 2015/09/27(日) 20:43:29 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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