馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

仮題、空飛ぶクジラ 27


 飛行艇の格納庫に、プレゼントボックスの試作品が運び込まれた。
 幅が3メートル、高さが1メートル、奥行きは1.5メートル。
 25センチほどの正方形の板を組み合わせて作られている。
 着色はされていない。喩えるなら、巨大な積み木のようだ。
「佐藤っ、いいよ、始めて」
 三脚につけられたビデオカメラを作動させて、鳩山が侑に言った。
「こっちもいいよ」
 麻生(あそう)は、手持ちのビデオで撮影している。
 他にも大人たちが遠巻きに見ているから、子どもたちは落ちつかない。
「なんとなく、分かるよな?」
 侑が、子どもたちに笑顔を向けた。
「うん、ロープを引くのは分かる」
 うなずいて、安曇が言った。
 正面のまん中、上のほうに小さな穴が開いていて、そこからロープが下がっている。
「ってか、引っ張るしか思いつかない」
 洋が答えた。
「そらそやな」
「でもね、何人で引っ張るの?」
 忠義が、侑に訊いた。
「おっ、いい質問」
 鳩山が、忠義をほめた。
「麻生さん、今の、メモ取っといてよ」
「私、今、撮ってんだから無理だよ」
 鳩山と麻生は、よく分からない会話をしている。
「まずは、洋だけで引いてみようか」
 どれくらいの力がいるのか、侑にも分からない。
「ん、分かった」
 洋がロープを引くと、側面の上の方から壁が崩れ始めた。
 蝶番(ちょうつがい)でつながれた上下二枚の板の、上側が折れて半回転する。
 次に、下側の板が壁から外れてばらばらと床に落ち、大きな音を立てた。
 やがて背面も崩れ始め、支えを失った天板が、ふわりと降りてくる。
「お~っ」
「いいね~」
「おもしろ~。でも、びっくりして手が止まったよ~」
「迫力あるよね。カメラがぶれまくった」
「次は、二人でやってみようか」
 鳩山が提案した。
「そうですね、そしたら、鳩山さんと僕で」
「佐藤、それ、違うと思う」
「やっぱり。安曇ちゃん手伝って。洋は忠義(たちゅ)と交替な」
 安曇と忠義がロープを引くと、残った壁は次々に崩落し、最後に正面の壁が一気に壊れた。
 ぱらぱらと拍手が鳴った。
「気持ちいいなぁ」
「いいね~」
「二人で引くほうがいいね」
 麻生が言った。
「うん」
 侑もそう思う。
「完成品は、ロープやなくてリボンになるでしょ?」
「リボンの端を、二人で一本ずつ引っ張るのがいい」
「二人で引くように仕向けるには」
 侑は、洋を見ながら言った。
 軍手か~。
「二本のリボンの端に、それぞれ、子どもサイズの作業用手袋をくっつける」



  1. 2015年09月26日 11:41 |
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

コメント

青梗菜さん、こんばんは!!^^

このプレゼントボックスの壊れ方、何となくわかるようなわからないようなわかるような。^^;『天空の城ラピュタ』のバルス(?)による壊れ方ともちょっと違うのかな?ドミノ倒しともちょっと違うのかな?(質問に非ず。)
  1. 2015/09/30(水) 00:28:43 |
  2. URL |
  3. くわがたお #-
  4. [ 編集 ]

がたおさん、こんにちは。

面倒くさくてなぁ、描写ってやつは。
そうか~、
「まるで、『天空の城ラピュタ』のバルスによる壊れ方のように壊れた。」
そう書けば楽ちんだったw 。
  1. 2015/09/30(水) 11:25:53 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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