馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

仮題、空飛ぶクジラ 22


「何時?」
「七時、六分前」
「アナログ時計っぽい言い方やなぁ」
「カウントダウンするよね」
「まだ明るいね」
「もうすぐサザエさんが、じゃんけんぽんをするよ」
「どこで食べよっか?」
「早く食べたいよ」
「クジラ公園」
「遠くない?」
「近い近い」


 自転車で五分ほど走って、四人はクジラ公園に着いた。
「いただきま~す」
 三人の子どもが声を揃えた。
「はいはい、いただきます」
「おいしいね~!」
「うん」
「そらよかったな」
「へへへ」
「そんで、誰の筋書きやねん」
 侑は、子どもたちを見渡した。
「食べたかったんだよね~、鰻重(うなじゅう)」
「主犯は安曇ちゃんかぁ、頭いいな」
「みんなで、侑さんって呼びまくってたのは、洋のアイデアだよ」
「頭いいなぁ」
「花さんは、侑さんの名前を憶えたよ」
 洋が、照れ笑いをしながら言った。
「いきなり鰻に持っていかないのは、忠義(たちゅ)が考えた」
「ちょっと安いめの弁当で、いったん承認を取ったやろ?」
「あ、ばれてた?」
 忠義は、いたずらっぽく笑った。
「そうそう、おごってもらうことが決まってから、鰻にレベルを上げるの」
「安曇ちゃんが、ハンバーグって言(ゆ)うたときな」
「うん」
「どうでもええ感が、丸出しやったわ」
「ははは」
「二段構えかぁ、頭いいな」


「侑さんて、やっぱり優しいね」
「なんのことや」
「同じものを注文しようとするなんて」
「そんなことはないよ」
 海からの風に、樹々が揺れている。
「花さんが、侑さんのいいところを見つけてくれるといいね」
 信号待ちのラパンが、スモールライトを点けた。
「侑さん、ほらっ」
「ん?」
 安曇が指差した先に、金星が浮かんでいる。
 切り分けたメロンのような月の隣で、かすかな光を放っている。
「見て。一番星」



  1. 2015年09月14日 21:41 |
  2. 未分類
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  4. | コメント:4

コメント

ホントだ♪
どこかで誰かがカウントダウンw
嬉しいですな~♪

ラパンのスモールライト、
一番星、
侑の中にも
どうにか灯った小さい光

花の中にも灯っているだろうか…きっともうすぐ…知ることになる…
さあ、カウントダウン♪
  1. 2015/09/14(月) 23:24:12 |
  2. URL |
  3. 小奈鳩ユウ #0TSJikig
  4. [ 編集 ]

ユウさん、こんにちは。

月がねぇ、三日月にしたかったのに、
二から三に増えるとまずいので、
メロンを切り分けるなんて、変な比喩を用いたわけですw。

安曇が、理由もなく花と張り合ったりするから、
女子は分からんw。
  1. 2015/09/14(月) 23:37:26 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

青梗菜さん、おはようございます!!^^

>「今日は、鰻の蒲焼き弁当を、四つください」(前記事)
このとき、心から笑っている花さんであってほしいと思いました。(理由:①そこんとこの描写が無いため。②油断大敵なため。)m(__;m
  1. 2015/09/15(火) 09:18:00 |
  2. URL |
  3. くわがたお #-
  4. [ 編集 ]

がたおさん、こんにちは。

風が吹いて、ライトが灯って、星が光っている。
世界は、侑に、思わせぶりに微笑みかける。
ハッピーエンドってのは、どこで終わるか、ですねぇ。
ってことは、もしここで終われば、
侑には、この件に関して、
これ以上のハッピーがないことのメタファーになる。
そんなの、ぜんぜんハッピーぢゃないのに。

安曇と花を絡ませないと、
花の気持ちが見えてこないなぁ。
それとも、
花は、心から笑った、って書いてみようかなw。
  1. 2015/09/15(火) 12:46:35 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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