馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

仮題、空飛ぶクジラ 16


「もしもし、安曇?」
「はい」
「洋だけど」
「なに?」
「女子の意見が聞きたい」
「なにそれ」
 洋は、安曇を呼び出した。
「場所は、花さんがバイトしてる弁当屋の隣に、コンビニがあるよね」
「うん、分かる」


「なぁ、安曇。仲良くしたい、ってことを伝えるにはどうしたらいい?」
「仲良くしようね、って言えば?」
「それが言えるなら、もう仲良しだよ」
「侑さんは、花さんとこに通って、どれくらい経つの?」
「三か月」
 侑は、安曇の取り調べに答えた。
「今まで、なんかしゃべった?」
「あんまり」
「あんまり?」
「唐揚げ弁当、とか?」
「オーダーは、しゃべったうちに入らないよ」
「安曇ちゃん、また今度にしようよ」
「わざわざ来たのに」
「いつまで福島にいてるか分かれへんしなぁ」
「だったら早くしなきゃ」
「離れ離れになってしもたら、つらいでしょ」
「そんなの、つき合ってから心配すれば?」
「つき合うとかではなくて、友達でええねん」
「花さんが、つき合ってください、って言ったら?」
「え?」
「友達でええねん、って言うの?」
 安曇は、自白を誘導した。
「もうちょっと盛り上がりとか、勢いがいるんや」
 侑は、誘導尋問を回避した。
「三か月も助走をつけてるのに、まだ勢いがいるの?」
「安曇っ、友達でいいから仲良くなれる方法を教えてよ」
 洋は、つき合うとか、友達とか、仲良しとかがうまく切り分けられない。
「なにか変わったことをすれば?」
 安曇が提案した。
「うん、他人(ひと)と違うことをすれば分かるよね」
「そうそう。好きとか書かなくても、メモを渡すだけで伝わるよ」
「それそれ。侑さん、なにか書けば?」
「侑さん、なにか書いて」
 侑は、書くことが思いつかない。
「唐揚げ弁当、とか?」
「筆談かよ」
 安曇が突っ込んだ。
 洋は、薄暮の空に星を探した。
「唐揚げ弁当では、なにも伝わらないよ、侑さん」



  1. 2015年09月04日 22:07 |
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

コメント

青梗菜さん、こんばんは!!^^

> 侑は、書くことが思いつかない。
そうだと思うなあ、僕なら。理由:チューとかエッチをしたいのが一番な為。侑さんが純度何%の変態男子かはわからないけれど。m(__;m
  1. 2015/09/05(土) 22:58:27 |
  2. URL |
  3. くわがたお #-
  4. [ 編集 ]

がたおさん、こんにちは。

チューとかエッチとかをしたいのですが、
そして、実際は、わりと簡単にできるのですが、
簡単にできてしまうわけがない、
というか、簡単にできてしまってはまずいわけです。
侑にとって、花はそれくらい価値が高く、
この思い込みが、恋の純度を決定します。

この価値判断の基準は、侑の内側にあります。
世の中的な評価では、花は平凡な女なのかもしれません。
でも、侑にとっては、彼女が世界で唯一の人に育ちつつあります。

判断基準を世間に委ねている人たちは、恋愛なんかできません。
独自の判断基準を持っていなければ、
彼女が、替えのきかない、再現性のない、唯一の人にならないからです。
以上を踏まえながら、
侑は、チューとかエッチとかをしたがってます。
  1. 2015/09/06(日) 13:23:25 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

侑が花へ書くことが見つからないのは…
共通項がまだ見つからないからなのでは?

花がクジラに興味があれば、侑は溢れるほどの手紙が書けるのにw

花が侑に興味があるなら
「ここらへんの人じゃないですよね?」
とか聞いてきそうだけどな~w
関西弁をアピールすることが話すきっかけになりそう。
「あー、何にしよかな~、唐揚げ弁当…せやけど昨日も食べたしなあ~」
「あ、関西の方なんですか?」
「そ、そうやで。お好み焼きで米食うで」
「うふふふっ♪」
これが黄金パターンのような(笑)

侑は何故に花を好きになったのか?
気になるところ♪
  1. 2015/09/07(月) 00:28:53 |
  2. URL |
  3. 小奈鳩ユウ #0TSJikig
  4. [ 編集 ]

ユウさん、こんにちは。

>侑が花へ書くことが見つからないのは…
>共通項がまだ見つからないからなのでは?
そうそう。さらに言えば、書くことがあってはならない。
しかし、この場合、なにを書いてもラブレターの意味を持ってしまいますね~。
この場合、手紙は必ず届きます。
侑が花に手紙を渡せば、白紙でも意味を持つ。
「唐揚げ弁当」をあり得ない例外としてw。

>侑は何故に花を好きになったのか?
>気になるところ♪
仕事帰りに、花を見ているだけで幸せな日々が続いたからです。
侑は、好き、という感情だけで軽々と飛べる男なのに、
助走を長くとりすぎて、重くなってしまったw。
侑は、飛べないクジラ、ですわ。
―― でね、タイトルとしては「飛べないクジラ」のほうがかっこいい♪

侑は、というか、たいていの男は、
恋心、なんてものについてオリジナルな言葉を持っていません。
風が吹く方向に正対して、
走りだせば自然に飛んでいるクジラのようなものですわ。
  1. 2015/09/07(月) 11:14:45 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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