馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

仮題、空飛ぶクジラ 10


「直径が20インチ、幅が1と8分の3インチやね」
「すげぇ、見ただけで分かるの?」
「いやいや、タイヤに書いてあるし」
 侑は、鞄からチューブと工具を取り出した。
「空気入れはある?」
「うん」
「ほな、始めよか」
「ありがとう」
 洋は、うれしくて、どこか気恥ずかしい。
「よっこいしょ」
 侑は、洋の自転車をひっくり返して、逆さまに立てた。
「お母さんは、自転車屋に持っていけ、って言うけど」
「そらそうや」
「千八百円もかかるよ」
「まぁ、そんなもんちゃうか?」
「チューブって、五百円くらいで売ってるのに」
「まぁな。お父さんは?」
「地震のときから行方不明」
「そうか~。15ミリのメガネ取って」
「これ?」
「そうそう」
 洋は、メガネレンチを手渡しながら訊いた。
「謝らないの?」
「うん?」
「ふつうは、ごめん、って言うよ。悪いこと訊いたな、って」
「ごめんなぁ、洋。おれって、常識がないねん」
「ははは、そっちを謝るのか~。ちょっといないよ、そんな大人は」
「ごめん、こんなとき、なんて言(ゆ)うてええんか分かれへん」
「いいよ。ほんとはね、謝られても困るから」
「そう思うわ」
 侑は、後輪の車軸を見たまま言った。
「なぁ、洋」
「なに?」
「お父さんがいてへんのは、悪いことでも、かわいそうなことでもないからな」
「ははは、変わってるなぁ、侑さんは」
 侑は、洋に労わられている。
「なぁ、洋」
「なに?」
 ふがいないけれど、しかたがない。
 やっと洋の顔を見ながら言った。
「ブレーキの鳴きも止めたるわ」



  1. 2015年08月27日 19:36 |
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

コメント

いやはや、興味ふかい小説ですね。
一言言いたいのは、主人公の名前。(漢字だったりひらがなだったり統一性がない)。
それを統一したほうが、小説としては読みやすくなる。
小説とはそんなもんです。

これからのご活躍、期待してますよ。
  1. 2015/08/28(金) 03:23:50 |
  2. URL |
  3. 金さん #n05n40aw
  4. [ 編集 ]

金川さん、こんにちは。

表記が揺れてますよね~、
この期に及んでふらふらですw、
「飛行艇」もねぇ。
地の文では「忠義」、
会話では、その都度ルビを振りましょうか。
リズムが悪い、音痴な名前です。

金川さん、ありがと~、
誰かにほめてもらえるなんて、
年に1回くらいですよw。
  1. 2015/08/28(金) 10:49:03 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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