馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

優しさ、に捕われて


吉野弘の「夕焼け」で、

もしも、娘が、
三度目も席を譲ったなら、
作者は、優しいという評価を与えただろうか。

内的な動揺を見せない、
もの怖じしない行動に、
可愛げのなさを感じなかっただろうか。

娘が、平静を装って、
三度目も立ち上がったなら、
可哀想に、なんて同情はいらない。



あるいは、三度目に席を譲らなかった娘が、
平静を装って座っていたなら、
優しいという評価を与えただろうか。

内的な動揺を見せない、
落ちつき払った様子を、
不遜な態度と捉えなかっただろうか。

娘が、平静を装って、
座り続けていたなら、
可哀想に、なんて同情はいらない。



席を譲り損ねたくらいで、
下唇を噛んで、身体をこわばらせているのは、
それを隠せないのは、感情が優位に立ちすぎている。

それを、かわいい、というのなら分かるが、
優しい、というには少し外れている。
作者は、優しさを取り違えているのではないか。



他人のことは行動で判断する。
客観的に、最も優しい行動は、
三度目も平然と席を譲ることだろう。

しかし、作者は、三度目に席を譲らず、
過剰に自責することを優しいと評したいらしい。
自分のことは思索で判断する。



感傷や、弱さや、依存や、恥じらいや、幼さや、
それらは、作者の趣味であっても、
優しさとは関係がないだろう。

それらを優しさと取り違える理由は、
最初から、自分は優しい、という評価が、
伏在しているからではないか。

感傷や弱さを持ち合せた娘に、
同情と共感を寄せる、
そんな自分の優しさは、娘の優しさと等価になる。



可哀想に ――、
娘が行動を起こせなくなってから、
作者は、同情と共感を寄せ始める。

行動が、優しさの意味を作る。
行動することで優しさを表していた娘が、
作者の甘ったるい優しさに取り込まれてしまう。

可哀想に!

    141118b.jpg







  1. 2014年11月16日 15:12 |
  2. 優しさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

コメント

いきなり長文ですいません

はじめまして。
ずっと、この一連の記事を見てました。
面白かったです。
やさしさって、痛みに敏感なことじゃないかと思います。
人の痛みを共振する人とも言えるかも。
あの人は辛そうだ、辛いかもと
思っただけで自分が辛い。
最初、二度目に席を譲った行為は「親切」
三度目、娘は席を譲らなかったけれど、
それは単なる「不親切」
この譲った譲らなかったは、作者が娘の心のやさしさを見出すきっかけに過ぎないのではと思います。
でも、譲らなかったことで、
何か娘の心中に、ずっと続く葛藤があるのが見て取れた。
やっぱりこの老人にも席を譲ってあげればよかったけど、
もうタイミングを逸してしまって今更そんなこと出来ない
と、思ってるかもしれない。
ああ、三度目は譲らないんだ、この娘
と、思われてるかもしれないという自意識が辛いのかもしれない。
その懊悩が、やさしい心なんじゃないでしょうか。

大人になると、自分への言い訳も上手になるし、
遅ればせながら、席をゆずりましょうかとも
ちょっとがんばれば口に出せる。
だいたい
人に親切にしなかったぐらいでは傷つかない。


やさしさから、過剰な自責で傷ついているやわらかい心を
もう、そういうやわらかさを失った大人の視線で、
もう、頭を上げて、美しい夕焼けを見てごらんって
作者は考えてると思うんですが

三度目に、もし娘が席を譲ったら、
きっと
「とても親切な娘さん」
だったと思います。
  1. 2014/11/16(日) 17:54:11 |
  2. URL |
  3. Sima #-
  4. [ 編集 ]

Simaさん、こんにちは。

はじめまして、
ふふさんのところでは、たびたび。

いやもう、ひねくれた記事ですみませんw。
Simaさんは、まっとうです、
そのとおりです、
まぶしいくらいに。
そのまっとうさを、僕はすべて外して書いてます。
ってことは、僕は極めてまっとうな人か、
あるいは、根っからのひねくれ者かどちらかですが、
たぶん、後者ですwww。
  1. 2014/11/16(日) 21:07:46 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

青梗菜さん、こんばんは!!^^

>もしも、娘が、
>三度目も席を譲ったなら、
>作者は、優しいという評価を与えただろうか。
与えたと感じます。でもこの場合、詩(?)にならない気が。

3度目の後、「娘がうつむいて(ry固くなってうつむいて」いたときの娘の感情はいろいろな想像は可能ですが誰にもわからないと思いました。なぜなら他人の心の中だからです。てなことをこの記事を読んで感じました。m(__;m
  1. 2014/11/16(日) 23:27:21 |
  2. URL |
  3. くわがたお #-
  4. [ 編集 ]

青梗菜さん、こんにちは♪

私もヒネクレているのか、この記事に対して
ただただ納得してしまいましたw
(*´∇`*)

突き詰めると、娘に対する詩人の一方的な感傷なんですよね。それこそがある意味で「詩」だとも思うけれど、「優しさ」を吟味すると疑惑が確かにある。
私の考えも移行していますね~(*´∇`*)


「娘よ!
汝、優しさに選ばれた者

三度目も四度目も五度目も譲り続けろ!
己れを滅し
譲り続けろ!

そして、数多の
としよりの笑顔を見ろ!

それはきっと
夕焼けよりも
美しいはずだ

それよりも
さらに美しく照る汝の行動を

我はここに
讃えよう」


あ……結局は見てるだけだ(笑)



  1. 2014/11/17(月) 00:00:15 |
  2. URL |
  3. 小奈鳩ユウ #0TSJikig
  4. [ 編集 ]

あ~あ。

>内的な動揺を見せない、
>もの怖じしない行動に、
>可愛げのなさを感じなかっただろうか。

こんな、しょーもないことで動揺して、
唇キュッてして、身体をこわばらせて、ぐるぐるする女の子が、
カワイイんですよねぇ。
まぁ、そうでしょうねぇ、そうでしょうよ。

もう、いいやぁ~、私。
可愛げなくて、いいやぁ~。
もし、私が娘だったら、
一人目で、席を譲って、立ち去って、
ついでに詩人に、何見てんだよっていう視線を投げて、
夕焼けでも眺めますよ。
世の中の正しさにも、かわいさにも、うんざりだぁ~!!

って、青梗菜さんが追究し続けるから、
ついに叫び出しましたよ、私www
  1. 2014/11/17(月) 00:00:28 |
  2. URL |
  3. プラトニックまいまい #-
  4. [ 編集 ]

青梗菜さんにいいように弄ばれる
吉野弘、可哀想!
変態扱いされて、可哀想!
可哀想。そうか、
この詩の割と真ん中の方に、この言葉がくるんだ。

やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから

他人のつらさを自分のつらさのように感じていたのは、
詩人の方か。詩人のやさしさの証明のために、
娘は可哀想でなければならなかったのか。
あれっ、娘、超可哀想!!
  1. 2014/11/17(月) 00:53:42 |
  2. URL |
  3. ふふ #-
  4. [ 編集 ]

がたおさん、こんにちは。

>もしも、娘が、
>三度目も席を譲ったなら、
>作者は、優しいという評価を与えただろうか。
どうかな~。
この詩の優しさは、いちいちうるさくて、
ウェットだからな~。

次の駅で降りるふりをして立ち去る、ってどうですか?
詩になると思うのですけど。
誰にも気づかせないのが優しさだと思うのです。
年寄りは、席を代わってもらったことさえ分からない。

お弁当を忘れた子には、
お腹いっぱいだわ、半分食べてくんない?
詩になると思うのですけど。
残すと、うちに帰って怒られるんだわ、って。
  1. 2014/11/17(月) 13:30:59 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

ユウさん、こんにちは。

>私の考えも移行していますね~(*´∇`*)
わはw、おつきあいいただき、
ありがとうございます。
何度も読者を振り回しますよ~w。
次回の書き出しは、

吉野弘の「夕焼け」で、
娘が立っていた駅間を数えてみる。
  1. 2014/11/17(月) 20:27:24 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

まいまいさん、こんにちは。

わはw、おつきあいいただき、
ありがとうございます。
もうすぐ謎が解けますからw。
推理小説だとすれば、
詩の中から犯人を探すわけですから、
犯人もトリックも詩の中にあります。
あと少しで結末ですのでwww。
  1. 2014/11/17(月) 20:28:02 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

ふふさん、こんにちは。

え~?
吉野弘に遊ばれているのは、
僕のほうなのですけどw。
>あれっ、娘、超可哀想!!
そうそう、そういうときは、
娘が犯人だったりするわけですけどね。

この詩は好きですよ!
  1. 2014/11/17(月) 20:28:38 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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