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tetsugaku poet

qinggengcai

僕の毎日は、事実に基づいたフィクションであり、 19/xx


    作られた詩は作る詩を作るべく作られたのであり、
    作られた詩というそのことが、
    否定せられるべき詩であることを含んでいるのである。
    しかし作られた詩なくして作る詩というものがあるのでなく、
    作る詩はまた作られた詩として作る詩を作って行く。



    190518c.jpg



春が二階から落ちてきた。

    このセンテンスは、伊坂幸太郎、
    「重力ピエロ」の書き出し。
    読み手は思うだろう。
    まるでポエムだ。
    何を文学ぶっているのかと。


春が二階から落ちてきた。
私がそう言うと、聞いた相手は大抵、嫌な顔をする。

    いかにもポエムな、あざとい表現は、
    駄洒落と同じくらいに嫌われる。
    面倒くさくて、馬鹿っぽくて、小恥ずかしい。
    読み手は、読みたくもないポエムを読まされたが、
    そうか、これは、信頼できない語り手、ってやつだ。



    190518b.jpg

春が二階から落ちてきた。
私がそう言うと、聞いた相手は大抵、嫌な顔をする。
気取った言い回しだと非難し、奇をてらった比喩だと勘違いをする。

    萩原朔太郎の春なら、遠くから煙ってきて、
    とんでもない時に、真白(まっしろ)の欠伸(あくび)をする。
    三好達治の春なら、跫音(あしおと)は空に流れる。
    中原中也の春なら、合唱は空に上がる。
    伊坂幸太郎の春は、突然、空から降ってくる。


春が二階から落ちてきた。
私がそう言うと、聞いた相手は大抵、嫌な顔をする。
気取った言い回しだと非難し、奇をてらった比喩だと勘違いをする。
そうでなければ、「四季は突然空から降ってくるものなんかじゃないよ」と
哀れみの目で、教えてくれる。

    読み進めて、「春」のキャラが立ってきた頃に思う。
    このポエムは、なんて「春」らしい書き出しだったのだろう。



    

    磨いて裂いて水の中 無重力に委される
    あたしが完全に溶けたら すぐにきちんと召し上れ

    ―― 浴室/椎名林檎
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2000、東芝EMI



―― 重力ピエロ/伊坂幸太郎 著
―― 2003、新潮社



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2019年05月21日 00:05 |
  2. 物語論
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

コメント

重力ピエロは、面白い!と思ったから、
その後、伊坂幸太郎の作品をいくつか読むに至ったけれど、
>春が2階から落ちてきた。
は、
えーーいやだぁーー。。って、引いたことを思い出しました。
今でも、重力ピエロは、この一文だけがいやだなぁ。
カッコつけちゃってさぁ。
  1. 2019/05/22(水) 01:09:07 |
  2. URL |
  3. プラトニックまいまい #-
  4. [ 編集 ]

まいまいさん、こんにちは。

かなり前、まいまいさんに教えてもらって読んだよ、重力ピエロ♪
それにしても2003年て。
驚いた、そんなに古かったんだ。

>今でも、重力ピエロは、この一文だけがいやだなぁ。
えぇと、兄が「泉水」とかけまして、
弟が「春」と解きます、
spring って駄洒落です。
どうよ、これw。

みんな重苦しい事情を抱えてるのに、
伊坂幸太郎は軽いから、
ちょうどいいエンタメになるよ。
ほんと、おもしろく読める♪
  1. 2019/05/22(水) 02:17:28 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #De6CjWPI
  4. [ 編集 ]

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