馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

dancer in the dark 2/2


        事実はない、解釈だけがある。
        ―― フリードリヒ・ニーチェ

        この世界には、
        客観的な事実があるわけではなく、
        ただそれぞれの、
        主観的な解釈だけがある。


例えば、クラゲは、
人が思うようになら、
どのようにも生きてはいない。

人が思うように生きるクラゲは、
もはや、人である。
人がクラゲを思えば、

この世界に、クラゲなどいなくなる。




        問うな、踊れ!
        ―― フリードリヒ・ニーチェ

        なぜ生きているのか、
        なんのために生きるのか、
        そんなものは、分からない。
        考えるな、踊れ!


自分の行為がなんのためになるのか、
そんなことは、誰も知らない。
ただ踊れ!

その中に没入せよ。
踊る時間の中にこそ、
真実がある。


        例えば、クラゲは、
        生まれた理由、
        生きる目的やその方法、
        そんなことは考えることができない。

        クラゲは、なにも問わないで、
        ただ暗闇で踊っている。


生まれたから、生きていて、
そして、生きることは、
生きていることの自明性が支えている。
答は、既にクラゲの身体に書き込まれている。

クラゲが、今、ここにいる、
それだけがクラゲの生きる答だ。


        クラゲに生まれたのなら、
        もう、それ以上に、
        クラゲらしく生きる必要はない。

        クラゲらしく生きようと思わない、
        それがクラゲで、
        その必要のなさがクラゲである。


人に、生きる目的があるというのなら、
その目的に向かって生きればいい。
人が、ほかの生きものとは違うのなら、
それを否定するつもりはない。

しかし、僕たちは、
そんな問いに答えるようにはできていない。


        目的があるとするのなら、
        生まれてから死ぬまでの、
        生きることの外側に、
        設定されなければならない。

        天国や彼岸、
        ここではないどこか、


神や悟りや永遠や、
いずれにしても、
僕たちが今、
手に入れられないものになる。

答のない問いの答えは、
誰かに示せるものではない。


        クラゲは、生まれてから死ぬまでの、
        生の全体のその外側に、
        生の全体を関連づけるなにかを設定しない。

        天国や浄土での、
        生まれ変わりを願うことで、
        その解決とはしない。


クラゲは、相当に頭が悪い。
過去も未来も、想うことができない。
今、置かれている状況しか生きられない。

人は、相当に頭がいいが、
現在の状況しか生きられないことは、
クラゲと変わらない。


        人は、人らしく生きようとする。

        人らしく生きようと思うのが人で、
        その必要があるのが人だが、
        生死について、
        人になにか特権が与えられていたとしても、
        それはクラゲと異なるものではないだろう。




        この世界が優しくないのなら、
        優しさを返す感受性はいらない。

        余計なものはないほうがいい。
        感受性の回路を断ち切って、
        なにも感じなくなったほうが、
        楽ちんに生きられる。


例えば、暗闇に生きるものたちの多くは、
眼を退化させているから、
光を反射することは無駄である。

しかし、クラゲのような生きもので、
体の表面に、櫛(くし)のように繊毛を並ばせ、
七色に輝き返すものがいる。


        右も左も、まっ暗闇の世界で、
        輝き返す用意しているものがいる。

        その世界には、
        光があると言ってもいいし、
        ないと言ってもいい。
        いずれにしても、事実はない。

        解釈だけがある。



    160114c.jpg

    櫛水母(くしくらげ)
    ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、
    のではない。

    160114a.jpg

    櫛板(くしいた)が、光を反射する。
    光が届かない深海に、
    地球の色をすべて示して。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2016年01月14日 23:01 |
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

コメント

人間性とかいうの人間だけですもんねw
人は、クラゲに対してクラゲ性を考えなくてもクラゲをクラゲだと認識出来る。
人の間においても同じなのに人間性を問題にする。

クラゲの環世界の中ではクラゲ性が云々されているのかも知れないけれど…
人はクラゲと意思疏通を図ることが難しいから分からない…。

櫛クラゲの反射を色として認識出来るのは人間だけ?
それは深海において、色ではない形(周波など)で櫛クラゲの言語を担っているのかどうか。

もし、それを色としてクラゲが意思疏通を試みているのなら、それを色として認識する人間に対して残した意思伝達の手段なのかも知れない。

クラゲは人間との会話を光の反射で試みている?
人間が宇宙の果てに向けて電波を飛ばすように。

クラゲの写真。ほんとだ…まるで星雲のよう…美しい。
私は深海で櫛クラゲに出会ったなら
こう話し掛けるだろう。客観性を排除し、主観による圧倒的な解釈で…

「…君は、とてもキレイだなあ」
  1. 2016/01/15(金) 16:49:13 |
  2. URL |
  3. 小奈鳩ユウ #0TSJikig
  4. [ 編集 ]

ユウさん、こんにちは。

>櫛クラゲの反射を色として認識出来るのは人間だけ?
>それは深海において、色ではない形(周波など)で櫛クラゲの言語を担っているのかどうか。
櫛クラゲは地球上で最初の動物っていう可能性が示唆されていて、
そして、人が進化の最後の動物としたなら、
やがて僕たちが見るすべての色を、
6億年前から映していた櫛クラゲと出会えば、
僕たちは、必ずや神々の名において、
なにかを感じないといけないなぁ。

虹色の反射は、進化に仕組まれた、
僕たちへのサプライズ・プレゼント、かもしれません♪

>「…君は、とてもキレイだなあ」
その言葉を、6億年も待っていたのかもしれませんよ~。
この世界の仕掛けに気づくきっかけが、
「知」よりも「愛」だったら素敵だな~。
この世界には、優しさを感じる感受性と、
優しさを返す感受性で、解ける謎がある、
そんな世界であってほしい♪
  1. 2016/01/15(金) 22:41:29 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

ボクのことをヒトは、
クラゲとかJellyfishと呼んでいる。
思考がない、感情がない、目的がない、
ただ躍っている、ただ生きている、
と決め付けている。
でもね。
ボクたちだって、それぞれ個性があるんだよ。
悲しげなやつ。さみしげなやつ。苦しげなやつ。
うれしげなやつ。楽しげなやつ。喜ばしげなやつ・・・。
なぜ「げ」が付くのかって?
それは、そう見えるだけで、じつは違うかもしれないということだよ。
つまり見た目で勝手に解釈しないでほしいということだ。
なぜクラゲなんて言うのだろう。暗気って思ったのだろ。
ボクたちは全然暗くなんかないのにね。
ほら、躍っているのだって、その証拠じゃん。
振り付けだって、ちゃんと考えて躍ってるのだよ。
くしくらげって勝手に名を付けられた仲間を見てごらん。
LEDよりもっときれいだろ。虹色だよ。地球の色だよ。
だからね。クラゲなんて気軽に呼ばないでほしい。
優しさを感じる感受性があるのなら、
せめてアカルゲと呼んでちょうだい。ねッ。
  1. 2016/01/16(土) 10:09:12 |
  2. URL |
  3. ☆バーソ☆ #IGPPA7yY
  4. [ 編集 ]

バーソさん、こんにちは。

擬人化しましたね~w、
クラゲに、直接的に感情を与えてます。

たぶん僕たちは、
なににつけても擬人化せずには語れないから、
どんなに注意深く書いても、人をほのめかします。
僕も、クシクラゲに語らせましょうか~w。

    千年降り続いた雨が上がって、
    白い太陽が昇ったとき、
    光と水は空に魔法をかけた。
    青ざめた虚空に、虹が架かった。
    しかし、観測する者がいないときには、
    虹はどこにも現れない。

    ボクたちは地球上で最初の動物、
    すべての動物の共通の祖先。
    ボクたちは、虹の色を伝えたくて、
    ボクたちの身体に描き込んだ。
    DNAの塩基に刻みつけた。
    その時、観測する者がいたなら、
    ボクたちの身体にも虹が映っていただろう。

    6億年の後、観測する者が現れて、
    ボクたちは問いかける。
    
    どうですか?
    こんな色で、合っていますか?
  1. 2016/01/16(土) 15:13:51 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

青梗菜さん、こんばんは!!^^

>なぜ生きているのか、
>なんのために生きるのか、
>そんなものは、分からない。
>考えるな、踊れ!
そうすね生きるしかないし、そのためには食わねばならないっす。
でも、分からないけど考えてしまうし、考えたとおりに(私が望むとおりに?)動こうともがいたりしたくなるのはなぜだろうなんて思いました。m(__;m
  1. 2016/01/16(土) 23:48:02 |
  2. URL |
  3. くわがたお #-
  4. [ 編集 ]

がたおさん、こんにちは。

考えてから決める、
そんなくせがついているからではないかなぁ。

なぜ生きているのか、
なんのために生きるのか、
答があっても、なくても、
生きるしかないのなら、
答なんていらないのにねw。

望む、ってことは、
望みどおりになるとは限らないから望むんだなぁ。
必ずそうなることについては、
望みなんていらないもの。

考えて、結論が出てから決める、ってのは、
実は、矛盾していて、
もし結論が出揃っていたら、
もう決めなくてもいいんだわ。

決断する、ってことは、
結論が出ていない、ってことですわ。
考えても分からないから、
決めるんだなぁ。
  1. 2016/01/17(日) 01:03:24 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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