馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

誤読という出来事 4/4


その頭文字は、G。

Gは、殺意に満ちている。
Gは、まるで、悪魔の力のように、
多くの外因死の原因になる。

Gは、宇宙の端緒からあり、
―― つまり、神とともにあったのだろう、
Gは、その力によって、星を作り、
星々を集めて銀河を作った。


        光あれ ―― 創世記、1、3、
        神の声を聞き、
        Gは、星を光らせる。

        Gは星を収縮させ、
        それにより、中心部が1500万度、
        水の160倍の高温高圧になったときに、
        星が核融合を始めた。

        そして、星々が光り始める。


Gは、殺意に満ちている。
星を生み出したGだが、
生まれた星を殺すのも、
やはり、Gである。

やがて、星は、
Gの魔力に耐えられなくなり、
その核を潰し始め、
跳ね返って爆発を起こす。


        高速で元素がぶつかり合い、
        温度も圧力も上昇する中で、
        核融合が進み、重い元素が作られ、
        銀河に撒き散らされる。

        そんな星々の欠片を集めて、
        太陽系が生まれた。
        端緒から100億年の後、
        銀河系の隅っこで。


地球の軌道になる辺りでは、
微惑星が100億個あり、
直径10km、重さ1兆tほどのそれらを、
Gは引き合わせる。

微惑星は、Gによって地表に落とされ、
互いを砕き続けた。
衝突の地点は、1万数千度の高温になり、
互いを溶かし続けた。


        Gは、密度の高い金属を、
        地球の核に沈み込ませ、
        蒸発した気体を舞い上がらせて、
        大気を作った。

        水蒸気を主成分とする大気は、
        熱を包み込む。
        地球は溶岩に覆われた火の玉になって、
        微惑星を捕らえながら転がった。


微惑星を喰い尽し、
衝突の回数が減少すると、
地表と大気が冷え始める。

溶岩の表層が薄く固まり、
同時に、大気が水蒸気を手放すと、
Gは、雨を降らせた。
Gによって、空の水がすべて落とされ、
地表を覆い尽くした。


        雨は1000年降り続く。
        僕たちは、地表に落ちた水を海と呼ぶ。

        Gは、gravity、
        ふつうは略して「G」と呼ぶ。

        あらゆるものを凶器に変えて、
        僕の質量でさえ、
        僕を殺そうと企図する「G」は、
        「重力」とも呼ばれている。



テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

  1. 2015年12月18日 22:21 |
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

コメント

シリーズ4回目ともなると、
さすがに読むほうも心の準備万端ですからね。
さあ、明智光秀になった気分で推理するぞ。

> 悪魔の力のように
ははあ、「力」に関係してるな。

> 星々を集めて
ほう、集める力か。

> その核を潰し始め
これはブラックホールのことか。

> Gは殺意に満ちている。
お、ひとを迷わせようとしている。
その手には乗らない。

> 微惑星を喰い尽し、
うん、うまい表現だ。字もいい。

> 僕たちは、地表に落ちた水を海と呼ぶ。
乾いている陸地を地と呼ぶ、
という創世記のフレーズをちなみに思い出す。

> 雨は1000年降り続く。
これがちょっと分からない。はて?

> Gは、gravity、
> ふつうは略して「G」と呼ぶ。
ここまで言われても分からない。

> 「重力」とも呼ばれている。
はい、この最後の一行でやっと分かりました。
  1. 2015/12/19(土) 17:58:54 |
  2. URL |
  3. ☆バーソ☆ #IGPPA7yY
  4. [ 編集 ]

ゴキブリ、神、結論は重力。うまい。
ところで馬鹿ってなんですか?
  1. 2015/12/19(土) 18:05:40 |
  2. URL |
  3. 無明 #-
  4. [ 編集 ]

バーソさん、こんにちは。

>お、ひとを迷わせようとしている。
>その手には乗らない。
わははw、手の内を読まれてるw。

>>「重力」とも呼ばれている。
>はい、この最後の一行でやっと分かりました。
ありがと~っ!
最初から「G」っていう手札を見せているから、
書き手は、とても不利な状況で、
ポーカーフェイスを装っていました。

>>雨は1000年降り続く。
>これがちょっと分からない。はて?
地表が熱いから、すぐに蒸発して、
また雨になって冷やして、この繰り返しで、
千年くらい雨だったらしいのです。

せっかくの千年ぶりの晴れの日ですから、
虹を架けて、祝福すればよかったなぁ。

    雨上がり ――。
    透きとおる星空に、
    惑星になり損ねた月が落ちかかる。

    白い太陽が昇ったとき、
    光と水は空に魔法をかけた。
    青ざめた虚空に、虹が架かった。
    やがて僕たちが見る、
    地球の色をすべて示して。

はい、明智光秀には、ならなくてよろしいっ!
小五郎ですっ、油断も隙もないなぁw。
先に書いときますが、桂小五郎でもありませんw。
  1. 2015/12/19(土) 20:10:25 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

無明さん、こんにちは。

ありがと~っ!

>ところで馬鹿ってなんですか?
ほんとに、なんなのでしょうねぇw。
自分の状況に気づいている人なら、
自分で自分の馬鹿を感じ取ることは多いと思います。
僕にとって、馬鹿とは、
定義を要求してやまない問いですっ!
  1. 2015/12/19(土) 20:11:30 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

詩が続きますね~♪
すると詩とは誤読かも知れない?

修辞のひとつに『異化』がある。
日常に目にする『異化』は、どこにあるのか?
それは、辞書に述べられる『言葉の説明』。

『右』の意味をどう説明する?
この説明は、そのまま『右』という言葉の『異化』。

多くの者に通じれば『言葉の意味』。少数の者にしか通じなければ『詩』?
詩作について再考する…。
青梗菜さんのコンテクストを更に異化したらどうなるのか?
異化の限度とは?
異化における詩作の限界とは?

青梗菜さんは、またまた読み手に考えさせますな~♪
  1. 2015/12/20(日) 03:05:48 |
  2. URL |
  3. 小奈鳩ユウ #0TSJikig
  4. [ 編集 ]

ユウさん、こんにちは。

>すると詩とは誤読かも知れない?
はい、誤読という出来事、なんてタイトルなので、
今回は、誤読ゲームですけどね~。

>日常に目にする『異化』は、どこにあるのか?
ありふれた素材を異化させるのは、
その人の抽象度の高さだと思います。
>異化における詩作の限界とは?
抽象度が低い人は、高い抽象度のことがらを理解できないので、
少数の者にしか通じないのは、ある程度は仕方がありません。
それが少数すぎると、独善に陥った私的言語です。

1/4では、昭和20年代、30年代、
田舎なら50年代くらいまで残っていたような夏の夜に、
戻りたくない、と言っています。
読み手を選ばないで、広い年代を狙います。
夏の夜の描写には、
僕は「あの頃は良かった」みたいなことは書いていないし、
どちらかというと、悪いことを書き並べているのですが、
読み手は、「あの頃は良かった」と誤読してしまうから、
結論が気持ち悪くなります。
修辞を凝らした描写には、それだけで対象への愛情があるはずなのに、
僕は、最後になって裏切るわけです。

2/4は、読み手は、話がどこに向かって行くのか、
見えていないままに、抽象的な文章を読まされます。
最後になって、「痴漢」についての話の前置きだったと知らされて、
がっかりする悪文ですw。

3/4は、推理小説。
月の夜には、地球が満ち、欠ける。
メルロ=ポンティっぽく言うと、現象はつねに未完結であり、
一義的解釈を許さない。
月の夜、とは、「月の」夜であり、月「の夜」でもある。
真昼の月、とは、真昼の「月」であり、「真昼の」月でもある。

4/4も、推理小説。
書かれているのは、犯行だけ。
犯人の名前は、最初と最後の行に記されています。
  1. 2015/12/20(日) 11:13:27 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

青梗菜さん、こんばんは!!^^

>多くの外因死の原因になる。
本文を最後まで読んでから、、崖から落ちるとかだと思ったっす・^^;

>Gによって、空の水がすべて落とされ、
>地表を覆い尽くした。
見たことある人、いないからなあ。^^;

※僕は多分書かなくてもいい事を書いたと思います。m(__;mわりぃっす。
  1. 2015/12/21(月) 00:21:04 |
  2. URL |
  3. くわがたお #-
  4. [ 編集 ]

がたおさん、こんにちは。

>>多くの外因死の原因になる。
>本文を最後まで読んでから、、崖から落ちるとかだと思ったっす・^^;
正解です。
僕の質量でさえ、僕を殺そうと企図しています。

ニュートン物理学、って情緒がありますね~。
情緒を持ち込める余地があります。

femaleをF、maleをma、とするとき、
F=ma、って、女=男になる。
femaleをF、misterをmr、とするとき、
F=mrω^2、って、女=男ω^2になる。
なんだか、合ってるように思えてきますw。
  1. 2015/12/21(月) 11:01:05 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

僕の目には見えていないもの、
例えば引力とか、重力とか、磁力とか、
なんとか科学の力で証明されることも近いでしょうが、
どの力も、どうやって引っ張り合っているのか、
では、目とは何だ。音は何だ。考えている自分は何だ。
空間は、ほんとに空間か。自分は、ほんとに自分なのか。
殆ど全てが疑わしいが、ここに書き記している。
誰かが見なければ、それも疑わしい。
  1. 2015/12/22(火) 22:00:39 |
  2. URL |
  3. 海底まきがい #-
  4. [ 編集 ]

まきがいさん、こんにちは。

ラカンは、
言葉のシステムを「象徴界」と名づけました。
人は、言葉を操って他人やものごとと関わります。
象徴界のほかに「想像界」と「現実界」を考え、
想像界は、僕たちのイメージの世界で、
現実界は、言葉もイメージも届かない死の領域、
言葉もイメージもない現実そのもの、
感情を取り払った物体、物それ自体の世界です。

>どの力も、どうやって引っ張り合っているのか、
>では、目とは何だ。音は何だ。考えている自分は何だ。
>空間は、ほんとに空間か。自分は、ほんとに自分なのか。
それらは、象徴界に留まりながら、
現実界に接近しようとする問いで、
それを言葉で説明しようとしても、
現実界に触れた時点で、うまく捉えられなくなります。
そして、そのときの違和は、
詩が生まれる契機だと思っています。
  1. 2015/12/22(火) 23:12:04 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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