馬鹿の世界の点景になりたい。

qinggengcai

ラカン 3/x


振り出しに戻そう。
そこまで戻らなくてもいいくらいに。
呆れるくらいに戻そう。
すなわち、
―― 僕にとって、哲学とはなにか?


        読書は、他人にものを考えてもらうことである。……
        ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、
        しだいに自分でものを考える力を失って行く。……
        しかしこれこそ大多数の学者の実情である。
        ―― 『読書について』/ショーペンハウアー


哲学書を読むことは、哲学ではない。
誰かになにかを考えてもらうことに過ぎない。
難解で知られるラカンを読むことの困難さは、
ラカンが考えたことを理解する困難さである。
自分でものを考える困難さではない。

ラカンは、ラカンと、
ラカンにとっての世の中について考えた。
ラカンは、僕と、
僕にとっての世の中について考えたわけではない。
そんなものは、誰も考えてはくれない。

それは、僕のほかには、
誰にも考えられないことだから。
ラカンが教えてくれるのは、
僕と、僕にとっての世の中を、
ラカンっぽく考える技術である。


        最良のラカン読解法とは、
        ラカンの読書法をみずから実践すること、
        すなわちラカンとともに
        他者のテクストを読むことではなかろうか。
        ―― 『ラカンはこう読め!』/スラヴォイ・ジジェク


僕は、ラカンではない。
自分でものを考えるのなら、
ラカンとは異なることを書く。
ラカンが書いたことを書いても意味はない。
すでにラカンが書いている。

もちろん、誰かが、
哲学書を読むことを哲学にしていても、
それで、ぜんぜん構わないが、
その人が、ラカンを正解とするのなら、
僕は、必ず間違えることになる。

どうして、そんなに正しいことばかり書くのか。
僕には、間違えることしか書けないのに。


        紙に書かれた思想は一般に、
        砂に残った歩行者の足跡以上のものではないのである。
        歩行者のたどった道は見える。
        だが歩行者がその途上で何を見たかを知るには、
        自分の目を用いなければならない。
        ―― 『読書について』/ショーペンハウアー



        『読書について 他二篇』/ショウペンハウエル 著、
          斎藤忍随 訳、1983、岩波文庫
        『ラカンはこう読め!』/スラヴォイ・ジジェク 著、
          鈴木晶 訳、2008、紀伊國屋書店



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2015年11月19日 23:12 |
  2. 恋愛
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

コメント

やっぱ、ショーペンハウアーですよね~。
落ち着くわぁ。

みんな正しいですよね。清々しいくらいに。
みんなと、私の違いは、
私を苦しめているような、楽しませているような。
あんまり違っていると、幸せが遠のくと思うのですが、
哲学者のみなさんは、幸せだったのでしょうか。
哲学者のみなさんは、変わり者だったハズですけど、
有名になったってことは、
みんなの共感を得た、ということで、
みんなと違っていなかった、ということになるのでしょうか。
  1. 2015/11/20(金) 00:14:48 |
  2. URL |
  3. プラトニックまいまい #-
  4. [ 編集 ]

まいまいさん、こんにちは。

>哲学者のみなさんは、幸せだったのでしょうか。
うん、ショーペンハウアーは、女を追いかけまわして、
とっかえひっかえしていましたよ~w。
人が嫌い、というよりは、彼が嫌われていたような気がするw。
厭世的なことを言いながら、アナーキーな快楽主義者です。

プロフェッショナルな仕事と考えれば、
思想とプライベートの使い分け。
では、僕たちの哲学は、プライベートの側にあるから、
哲学者よりもアナーキーであって当然ですね~。

>みんな正しいですよね。清々しいくらいに。
ブログなんて、誰かに頼まれて書いているわけでもないのに、
誰からも非難されないようなことを書いていると、
書いている意味がないような気がするのですよね~。
わざわざ自分を、窮屈な世の中に押し込めて、
歪めているような気分になります。
当たり障りのない結論をつけて、
正しさの品評会に、出展する用意をしているような。
みんなの正しさの半分は、嘘か、あるいは、
なんにも考えていないことが成分ですよっ!
たいていの正しさは、正しくない僕でも、知ってますから。
  1. 2015/11/20(金) 12:14:35 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

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