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tetsugaku poet

qinggengcai

経験ということは、


経験ということは、
たしかに人間には必要だと思うのですが、
どんなに経験しても、
人間というものはその経験を
想像力のなかで造形できなかったら
経験にならないわけです。
―― 「反劇的人間」、安部公房

どこに行って、何をしても、
そこで撮った写真に、
確かに自分が写っていても、
まだ言葉が与えられていないうちは、
その経験は、まだ経験ではない。
経験が、経験にならないのは、
考えないからである。

考えた形跡がないということは、
自らの経験に基づいて、
語られていないということだ。
経験は、経験のままでは、
まだ経験とは呼べない。
画像とハッシュタグだけでは、
まったく経験にはなっていない。

経験したから身についたのではない。
僕たちは、様々な経験の中から、
身についたことを取り上げて、
自らの経験を再定義する。
すべての経験が身につくわけではない。
逆説的だが、身についたのは、
思考を巡らせたからである。

でも、それに気づくのにも、
相当に時間がかかるから、
若者たちなら、まずは、
様々な経験をすることから始めればいい。
ぼんやりした経験を言葉にするのは、
後回しにしてもいい。
もっと大人になってからでもいい。

それは、大人の仕事である。
それが、大人の仕事である。
大人が、それをサボってはいけない。



    180818e.jpg



    

    夕方5時のチャイムが 今日はなんだか胸に響いて
    「運命」なんて便利なもので ぼんやりさせて

    ―― 若者のすべて/フジファブリック
    ―― 志村正彦 作詞作曲、2007、EMI Music Japan



    ―― 反劇的人間/安部公房 著、1979、中公文庫



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2018年08月21日 00:03 |
  2. 自分らしさ
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(以下略


他人によく見られたい、
他人に認めてもらいたい。

もちろん、それは大切で、
それに気を配るのは当然として、

しかし、他人が自分をどう思うか、
ってのに寄り掛かっていると、

自分が自分をどう思うか、
ってのを置き違える。

例えば、無理な写真を撮って、
加工して、盛りつけて、

SNSに載せている人たちは、
自分がしたいことではなくて、

他人がしたいことを(以下略



    180818d.jpg

自分がしたいことをしているのなら、
それは、誰にも証明しなくてもいい。

盛った写真で、誰に証明する必要が(以下略



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2018年08月20日 19:54 |
  2. 自分らしさ
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古くてボロい


いきなり肩が軽くなったら、
古くてボロい鞄が落ちて、

その肩紐の、ギボシのネジが取れていた。
さて、どちらに行こう、風が吹く。

ギボシを取り換えるのなら、
キューズモールのABCクラフト、

ネジを見つけてくるのなら、
日本橋のナニワネジ。

古くてボロいクルマに乗って。



    180818b.jpg
    180818c.jpg
    180818a.jpg



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  1. 2018年08月19日 00:17 |
  2. ミニ
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100,000km


    180816a.jpg

    それから何年経つたことか
    汽笛の湯気を茫然と
    眼で追ひかなしくなつてゐた
    あの頃の俺はいまいづこ

    今では女房子供持ち
    思へば遠く来たもんだ
    此の先まだまだ何時までか
    生きてゆくのであらうけど

    生きてゆくのであらうけど
    遠く経て来た日や夜の
    あんまりこんなにこひしゆては
    なんだか自信が持てないよ
    
    頑是ない歌、『在りし日の歌』より/中原中也



    

    ―― 結詞/井上陽水
    ―― 井上陽水 作詞作曲、1976、FOR LIFE



    ―― 中原中也詩集/大岡昇平 編、1981、岩波文庫



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  1. 2018年08月19日 00:14 |
  2. ミニ
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ひまわり


何が具象で、何が抽象か、
なんて問いには、答えようがない。
それらは、互いの関係で成り立つから。

    180816c.jpg

例えば、ひまわりは、種子植物の具象化で、
例えば、ゴッホのひまわりや、
モネのひまわりの抽象化。

    180816b.jpg

「政治」は、「哲学」や「思想」の具象化で、
「戦略」や「戦術」の抽象化。
抽象っぽい概念が帯びる具象っぽさの加減。

具象と抽象は、相対的な関係を示す。



    

    ―― ひまわり/小島麻由美
    ―― 小島麻由美 作詞作曲、2001、Pony Canyon



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  1. 2018年08月18日 00:51 |
  2. 政治
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哲学、思想、政治、戦略、戦術 (`ε´) 7/7


それが「政治」なら、
現行のシステムを所与のものとして、
その中でうまく成り行く「戦略」を立て、
うまく立ち回る「戦術」を採る。

さまざまなシステムが、
なんだか気に入らないものであっても、
一度は、無批判に受け容れないと、
スタート位置にも進めない。

分別くさく、要領よく、
ものごとをこなして行くのなら、
システムに疑義を抱かずに、
素直に従ったほうがいい。

そうすれば、具体性が高くなって、
部分への分割が可能になって、
多人数での効率性が重視されて、
多数決が、当然に意味を持つ。

少し距離をおいて、斜に構えて、
システムを批判的に眺めてみると、
「哲学」や「思想」に審級が上がる。
それは、ひねくれていて、要領が悪い。

それは、抽象度が高くなって、
全体の把握が可能になって、
個人の独自性が重視されて、
多数決は、当然には意味を持たない。

受験とか、就職とか、結婚とかを、
期待通りに、予定通りに、
分別くさく、要領よく、
うまくこなして行くのなら、

「政治」だけでもいいけれど。
「政治」だけのほうがいいけれど。



    

    ―― 若者のすべて/フジファブリック
    ―― 志村正彦 作詞作曲、2007、EMI Music Japan



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  1. 2018年08月17日 00:09 |
  2. 政治
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哲学、思想、政治、戦略、戦術 (`ε´) 6/7


例えば、20年前の僕なら、
どっちでもいい、って考えていた。
        結婚、なんてのは、
        してもいいし、しなくてもいい。

どっちでもいい、と考えていたのは、
そう言いながらも、
        みんなが、結婚を志向していて、
        みんなが、その志向通りに結婚していたから。

なんだかんだ言っても、
結婚は、するもので、
        さらに言えば、してしまうものだ。
        そんな断定的な「思想」を共有していた。

でも、本当にどっちでもよくなると、
重ねて、どっちでもいい、なんて考えたりはしない。
        改めて、どっちでもいい、なんて、
        そんな間抜けなことは言えない。

わざわざ、どっちでもいい、
なんて、言わなくても、
        今となっては、世の中の側が、
        どっちでもいい、と言っているもの。

        今になって、びっくりしている。
        本当にどっちでもよかったんだ、って。



    

    ―― 結婚相談所/小島麻由美
    ―― 小島麻由美 作詞作曲、1995、Pony Canyon



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  1. 2018年08月16日 12:34 |
  2. 政治
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哲学、思想、政治、戦略、戦術 (`ε´) 5/x


「哲学」でも、「思想」でも、
何と呼ぶのも勝手にすればいいけれど、
自分は、他人よりも知的で、
鋭敏な感受性を持っている、
なんて自分で思えるような人は、

他人の知的さを知る知的さや、
他人の感受性を感受する感受性に、
欠けているだけかもしれないと、
知的でも鋭敏でもない僕なら、
負け惜しみを言ってみる。

そんな人には、
どうしたって勝てる気がしないから。



    

    ―― 遥か/スピッツ
    ―― 作詞、作曲、草野正宗、2001、ポリドール



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  1. 2018年08月08日 00:12 |
  2. 政治
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哲学、思想、政治、戦略、戦術 (`ε´) 4/x


高校の、たぶん、2年の夏休みに、
夏目漱石の『行人』を読んだ。
どんな話だったのかは、
まるで思い出せないのに、
ここだけは、しつこく憶えている。


    兄さんは自分が鋭敏なだけに、
    自分のこうと思った針金のように際どい線の上を渡って生活の歩を進めて行さます。
    その代わり相手も同じ際どい針金の上を、
    踏み外さずに進んで来てくれなければ我慢しないのです。
    しかしこれが兄さんのわがままから来ると思うと間違いです。

    兄さんの予期通りに兄さんに向かって働きかける世の中を想像して見ると、
    それは今の世の中より遥かに進んだものでなければなりません。
    従って兄さんは美的にも智的にも乃至倫理的にも
    自分ほど進んでいない世の中を忌むのです。
    だからただのわがままとは違うでしょう。


こんなメッセージを受け取ったら、
僕なら、自分のわがままを、
疑わざるを得なくなる。
繰り返される、わがままの否定に、
却って、わがままを自認したくなる。

「哲学」でも、「思想」でも、
何と呼ぶのも勝手にすればいいけれど、
誰もが、針金の上を歩いている気になって、
誰もが、わがままではないつもりになって、
ただのわがままを言っているのかもしれない。

世の中には、僕のように鈍感で、
美的にも、知的にも、倫理的にも劣っていて、
立派なことは何も言えない人がいて、
それでも、一つくらいは、いいことがある。
その代わり、相手は、

僕のわがままを聞かなくても済む。
ただのわがままとは違うわがままを。



    ―― 行人/夏目漱石 著、1913、1952、新潮文庫



    

    ―― 流れ星/スピッツ
    ―― 作詞、作曲、草野正宗、1999、ポリドール



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  1. 2018年08月07日 21:27 |
  2. 政治
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哲学、思想、政治、戦略、戦術 (`ε´) 3/x


「哲学」は、することだが、
さらに言えば、してしまうことで、
それは、もとより余計なことであり、
余計なことは、なるべくならしないほうがいい。

「哲学」に向かうリソースを、
「政治」や「戦略」や「戦術」に、
振り向けて集中させたほうが、
パフォーマンスが向上すると思われる。

それでも、考えるのなら、考えてもいいし、
考えないのなら、それでもいい。
どのように考えてもいい。
深刻でも、お気楽でも構わない。

「哲学」するときの、
考える、というのは、
考えろ、と言われても、
考えられるものではないし、

考えるな、と言われても、
考えてしまうもので、
自分でも、他人からも、
制御できないものである。

気がつけば、ついつい、
考えてきたことであり、
振り返れば、ついつい、
考えずにきたことである。

誰だって、あらゆるものごとについて、
考えを巡らせているわけではなく、
考えていないものごとについては、
考えていないことにさえ気づかない。

考える、考えない、そのどちらも、
ことさらに、ご立派なことではなく、
とりわけて、お粗末なことでもなく、
どっちでもいい、ってことになる。

自分で考えることを、
立派なことにしてしまうと、
自分が利口に思えてくるし、
自分が考えたことを、

粗末に扱われてしまうと、
他人への怒りがわいてくるけれど、
実は、できることをして、
できないことをしなかった、

たぶん、それだけのことなんだ。



    

    ―― ひまわり/小島麻由美
    ―― 小島麻由美 作詞作曲、2001、Pony Canyon



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  1. 2018年08月06日 12:14 |
  2. 政治
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